2016/03/15

雪の奥只見へ

3/1(火曜日)

前日夜の天気予報で、火曜日~水曜日にかけて、急速に低気圧が発達し、北海道は暴風雪になる影響で、本州の豪雪地帯も、そこそこの積雪があるらしいという予報があり。
これだけのまとまった雪は、今シーズン最後かも。
ちょっと無理してでも、走りに行っちゃおっかな。

翌日、各地のライブカメラをチェックしたら、予報通りの大雪でした。
仕事をやりくりして、9:30頃出発。

行き先は、2日前の日曜日と同じ奥只見。
そう、2日前にも走ったんです。ほとんど同じルートを(笑)。
ただし、2日前は、事前に得ていた積雪情報通り、道路に雪は全くない状態でした。道路脇の気温表示も、常時8℃~9℃で春みたいな陽気でしたからね。
この日は一転して大雪。
あえて、2日前と同じルートを回って、雪があるときとないときの違いを感じてみようと。

この日は、奥只見を一通り巡ったら、できれば会津で1泊して、翌日は磐越道をぐるっと経由して新潟の十日町へ行って(この時期、福島から上越~中越方面へ行くのは、至るところ通行止めなので、本当に大変ですね)雪景色の、星峠の棚田を見たいなぁ…という、ザックリした計画です。
まあ、仕事の呼び出しがかかってきたら、サッと東京へ戻らなければいけないので、翌日はどうなるかわかりませんが。

昼前、西那須野塩原ICを降りました。
国道400号を西北へ。
まずは、雪の前沢曲家集落でも行ってみようかと。




日光市に入ったあたりから、徐々に圧雪路に。
2日前に来たときは、道路脇の残雪すらなくなりかけていた所です。




国道121号を北上。
ここは、ある程度交通量が多いところなので、道路の積雪はあったりなかったり。

国道352号へ入ってしばらくすると、、一面銀世界に。
細かい粉雪が、横殴りに降り続いています。
それにしても…2日前とはまるで違う風景に感動。
​道路脇の気温表示は、常時マイナス表示。




前沢曲家集落に到着。
2日前に来たときは、まったく雪がなかった駐車場。
この日はラッセルしないと停められない状態。
降り積もっている雪の質は、パウダースノーとまではいきませんが、そんなに湿ってない雪なので、ラッセルは楽ちん。
先月の、雪の道志みち(神奈川~山梨)のときと同じくらいの積雪深でしたが、道志の雪質はベシャベシャしていて、あらぬ方向へ滑りしまくり、ほんの少し登り坂になっただけで4Lに入れないと登らないくらいで苦労しました。
雪質で全然違いますね。

スノーブーツでも一応問題ない積雪深ですが…1歩進むたび、足がズボズボ雪に埋まって、やや歩きづらい。
スノーシュー(かんじき)を買おうかなぁ。




雪は静かに降り続いています。




集落へ向かう道。
有機的な曲がり具合と、微妙な高低差が美しい。




集落の奥の方に、こぢんまりとした神社が。
雪がしんしんと降り積もる静かな山奥の集落に独り佇んでいると、日常の都会生活では麻痺してしまっている、自然に対する信仰心みたいなものが呼び起こされます。
なんとなく合掌。(-人-)




…おや??
ふと足元を見てみると、私が集落に入るときにはなかった、動物の足跡が。
なんの動物だろう…こんなところで想像力を働かせるのも雪ならではで新鮮です。




集落を一周し、駐車場に戻ってきました。
この時点で14:00。
仕事の催促等はなさそうなので、会津若松の宿を予約しちゃいました。

集落を後にして、国道352号を西北へ向かい、国道401号を北上。
さらに国道289号を北上していきます。




しばらく進むと…
…おわーっ。。。
突然、目の前が真っ白に…。
10メートル先に前走車がいるはずなのですが、突風が着雪した雪を巻きあげて、一瞬で視界がゼロになりました。
軽くパニックです(^^;;)
しばらくハザード出して徐行。
こういうこともあるんですね。気をつけます。




会津や只見の道は、基本的に山深い景色が続きますが、この梁取という集落の近辺だけ、景色がパッと開け、2kmほど、真っ平らな、道北のような長~いロングストレートになります。
関東甲信越で、これだけ真っ平らな直線路は、他にないんじゃないかなぁ。




国道289号を西北へ進んでいきます。
国道252号へ突き当たったら、東へ。
沼沢湖へ向かいます。




ここから降雪量が増えて、風景は楽しめず。
このあたり、夏の早朝とかに走ると、朝靄が立ちこめた只見川の風景が美しかった記憶があります。
これは2日前の写真です。
只見川沿いの集落。
残雪がアイスクリームみたい。いい感じ。




時刻は16:00前後。
粉雪からボタ雪に。




沼沢湖というカルデラ湖の、北東側の湖岸をかすめる道路を走ってみます。
ここまでずっと国道で、いわゆる圧雪路でしたが、県道や、この道のような名もなき道は、除雪のプライオリティが低いので、雪が多く残っていることを期待して侵入。




まあまあ急峻なカルデラ壁を登っていきます。
やはり、国道よりずっと雪が多く残っています。




降雪が多いので遠景は望めませんが、箱庭みたい。




沼沢湖に着きました。
霞んで何も見えませんね。




湖畔の北東側を走る道路。
時々林の間から湖が見え隠れする1.5車線路です。




湖畔を離れ、深い杉林を抜ける道へ。
湿った新雪がかなり積もっている状態になりました。
圧雪路のつもりでブレーキを踏むと、ABSが作動するうえ、なかなか停まってくれません。制動距離が普段の3倍くらいに。




雪質チェックのため、降りて確認してみることに。
多少水分は多いものの、関東平野部で降る雪よりは全然粉っぽいですが、やっぱりスタッドレスは基本的に圧雪路を走るように作られているので、新雪には弱いなぁ、ということを再認識。
写真のように、タイヤの溝が雪で目詰まりしている状態なので、うまく排雪できないんでしょうね。




深い杉林を抜け、集落の間を縫って走る道に。
少し薄暗くなってきました。
このあたりは、国道からちょっと入るだけで、古民家がごく普通に存在し、現役で使われています。
左側の建物のように、千鳥破風のある建物、都内ではなかなかお目にかかれません。




時刻は17:00。
この日走るのはひとまず打ち止めにして、会津の宿へ向かおうかと思い、ポイント1から国道252号を東へ向かいました…
…が、まだ日没前。もう1本、走れそうだなぁ。
ポイント2を右折して、県道237号を走ってみます。




この道、最新のツーリングマップルでも、冬季通行止めという表記になっているんですけどね。
2日前に来たときも、降雪が多いこの日も、普通に走れました。
走ってみるとわかるんですが、この道は、集落と集落を繋ぐ生活道路なので、通行止めにしてしまうと住民が孤立してしまうように思いますが…昭文社はなんの情報を元にしているんでしょう。
今年初めて雪道を走ってみて、このような感じで、ツーリングマップルでは通行止め表記なのに実は通れる道、他にもいくつかありました。まあ、ツーリングマップルのメインのユーザーが単車乗りであり、主に夏場に利用される地図ですから(雪景色の情報なんか皆無ですしね)そのへんの情報はあまり精査されていないみたいですね。

さて、県道237号は、先ほど通った沼沢湖畔の道路から2kmほど南の道路です。
路面状況がころころ変わっていきます。
このあたりはしっかりグリップ。




徐々に道路脇の雪の壁が高くなってきました。先日の八甲田を思い出します。
だいぶ山深くなってきて、あまり除雪が追いついていない地区に入った感じ。
新雪であり、深雪です。
徐々に、クルマが思い通りに動かなくなってきました。
緩い上り坂で、アクセルを踏んでも、エンジン回転が上がるだけで、タイヤは空回りしてしまって、失速して止まったりとかですね。一瞬、2WDのまんま走っているのかと思ったほどです。
そんな状態なので、一度停止してしまうと、4Lに入れないと、上り坂は登れなかったです。15センチくらいしか積もってないんですけども。
ブレーキもあまり効きませんし(特に下り坂)横滑りもなかなかのものでした。至るところで滑りまくりです。
でも、そういうところを走りたくて行ったので、すごく楽しかったです。
ちょっと除雪されていないだけで、すごく違うもんなんですね。改めて勉強になりました。
少しずつ、雪に慣れているところです。




この道は、1箇所、見晴らしがいいところがあります。
2日前に撮った写真。
奥只見の山々の雪景色が美しい。




同じ場所で、ほぼ同じアングルで、この日撮った写真。
見事に何も見えませんね(^^;;)




同じ場所で、2日前に撮った写真、もう1枚。




ほぼ同じアングルで、この日撮った写真。
当たり前ですが、全然違うなぁ。




2日前は、ここから、日が沈む前に、80kmほど離れた大内宿へ行けました。
旧日光街道沿いの宿場町、大内宿。
イザベラ・バード(明治の日本を旅した英国の女性旅行家)の本にも出てくる、有名なところですね。




この日は、2日前とほぼ同じルートを走っていますが、雪道のためペースが上がらず、大内宿へ行く前に日没になりました。
本日の宿(会津若松)へ向かいます。

宿へ向かう道中、仕事のメールが入ってきました。遊んでないで帰ってこいと(笑)。
冒頭に書いたとおり、翌日は新潟の十日町へ行きたかったのですが、とんぼ返りで帰ることになりました。

宿へチェックイン後、会津若松の町並みが良さげだったので、サクッと散策してみました。
古い蔵や建物が結構残っていて、雰囲気がいいですね。いつかゆっくり散策してみたいなぁ。
居酒屋で一杯やって、宿へ帰りました。




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3/2(水曜日)

6:30起床、7:30出発。
15:00までに仕事場へ戻らなくてはならないのですが、せっかくなので、ちょっくら迂回して、雪深そうな山奥を経由して帰る予定です。

まずは初めての雪下ろし。




氷柱の育ち具合が過去最高レベルに。




エンジンをかけます…
が、先日の東北ツーリングの時もそうでしたが、やはり雪国に来ると、エンジンの始動が苦しげ。
通常なら「ハヒョヒョ…ブルルン」とかかるエンジン。
雪国だと「ハヒョヒョヒョ…ヒョ…ヒョ…ブル…ブルルン」てな感じ。
いつかは冬の北海道をツーリングしたいと思っているのですが、これではちょいと心許ないです。真冬の陸別とか、普通に-20℃とかなると思うのですが、そこで始動してくれないと困っちゃうなぁと(^^;;)
ジムニー標準のバッテリーは、55B24Rで一応寒冷地仕様ですが、もう少し容量の大きなものに替えたほうがいいのかなぁ。

出発です。
山奥に行く前に、鶴ヶ城に立ち寄ってみました。
雪景色が似合うお城ですね。






国道252号を只見方面へ向かいます。
この道は、除雪作業員の方が夜中に頑張られたようで、完全に除雪されておりました。




そして、県道32号を南へ向かいます。




県道32号は、序盤(県道59号の分岐くらいまで)は集落が多いので、あらかた除雪されてました。
山深い1.5車線路の雪景色。なかなかですね。




八甲田でも経験しましたが「晴れてるのに降雪がある」っていう現象も、雪国で育ってない私にとっては新鮮だなぁ。関東ではまずあり得ないので。




いくつか集落を通り過ぎるにつれ、徐々に圧雪路に。
さっきまでの晴れ間が消え、降雪量が増えてきました。




湿った雪ですね。ワイパーが忙しいです。
結構降っているので、撮影のためにちょっと降りただけで、体中に雪が張り付いたり、クルマのドアをちょいと開けただけで、雪が車内にドバッと入ってきてシートが雪だらけになったり。昨年、合皮のシートカバーにしておいてよかったです。




真っ白だなぁ。




国道へ突き当たったら、国道401号を西南へ向かい、国道400号を東南へ。田島方面へ。




国道401号。
喰丸トンネル通過後。
降雪は減ってきました。




このあたりで、ワイパーが言うことを聞かなくなり。
間欠モードでなく、ミスト操作していたんですが、ミスト操作の間隔がほんの少し空いたスキに、凍りついたみたいです。
車内の空気の循環はデフロスタに合わせていましたが、温度設定が低かったのかもです。
シエラについている「デアイサー」という機能があれば、なんの問題もないんですが、軽ジムの方にはなぜかついていないんですよね。(-_-;;)
一端停車して、ワイパーをバリバリと剥がします。

国道400号。
同じような景色が続きますが、雪国をほとんど知らない私は、飽きることもなく、ずーっと新鮮な気持ちで走り続けられます(笑)。
雪のコンディションも刻々と変化するので、乾燥路を走っているより全然楽しいしですし。
とか言いながら、見通しのいいコーナーで調子こいてたら、アイスバーンに乗ってしまってアセったりしました。
気をつけます(^^;;)




ここまでは、国道ながら山間部のマイナー路だったので除雪されてなかったですが、会津田島へ出たら、完全に除雪されて、雪はなくなりました。
スノードライブは終了です。

西那須野塩原に着いたら、ピーカンに晴れてる上に、春みたいに暖かい。
さきほどの雪景色の山間部から、直線距離でほんの50kmちょい離れただけですが、えらい違い。
コンビニの駐車場にちょっと停めておいたら、ボディ下面に張り付いていた氷柱が、ボコッボコッと、音を立てて落ちていきます(笑)。




これにて、今回の雪中ツーリング記録は終了です。
雪道を、おなかいっぱい堪能しました。
やっぱ国道より県道、県道より名もなき道を走るのが、自分の性に合ってますし、面白いことを再確認しました。そういう所の方が、雪も多く残っていますしね。
その結果、さまざまな雪質をたくさん経験を積めたのがよかったです。
何度かヒヤッとした体験ができたのも、いい勉強になりました。

帰ってきてから思ったのですが、一度くらい、チェーンを巻いて走ればよかったなぁと。
アピオのゴツいチェーン、装着練習のために自宅で1回巻いたっきり、未使用です。
まあ、あのチェーンが必要になるようなところを走るのは、もう少し雪に慣れてから、という気もしていますが。

相変わらずの長文・駄文、失礼しました。<(_ _)>

2016/03/08

東北雪中ツーリング(後編)

(前編からの続き)

2/22日(月曜日)

今日の予定は、午前中、13年ぶりに龍飛崎へ行き、夕方、暖冬でもそこそこ雪深いであろう、八甲田近辺を走る予定です。
真冬の八甲田は初めてです。すごく楽しみ。

6:00起床。
早く出発したいけど、この宿は朝食が7:00からと遅いので、しばらくうたた寝。
とっとと朝飯済ませて、7:45出発。

前夜、雪は降り続かなかったようで、積雪はたいしたことありませんが、新雪がカチカチに凍っとります。
宿の玄関からジムニーを停めてあるところまで、たかだか200メートルくらいでしたが、スノーブーツを履いていないと、ツルツル滑ってマトモに歩けない状態。
凍った路面の運転はあまり経験がないので、ちょっと緊張しながら出発。




宿を出て、弘前市街を通過したら、県道3号(鰺ヶ沢街道)経由で、お岩木山の南側の山麓を西へ。
鰺ヶ沢(日本海側)へ向かいます。




凍ってはいるものの、交通量が少ないためかアイスバーンにはならず、きちんとグリップしました。
色々な雪のコンディションに、初心者の私はいちいちドキドキしております(笑)。
リンゴ並木の間を走ります。
右の方に、うっっっすらと、お岩木山の裾の方が見えます。
見えませんか? すみません(^^;;)
道路脇に設置されている「現在の気温」は、-3℃を表示。




…と、ここで突然、以前頭にすり込まれた情報が呼び起こされ。
たしか、この近くに、真冬は氷結することで有名な滝があったような…。
昔だったら、ここでクルマを降りて地元の人に聞くところなんでしょうが、今はスマホで調べます。
便利なことは、いいことなんだか悪いことなんだか、時々わからなくなります。

検索したら出てきました。「乳穂ヶ滝(におがたき)」。
そうそう、そんな名前だった。ちょっと行ってみよう。
急遽、県道204号を南へ向かい、突き当たったら県道28号を西へ向かって、乳穂ヶ滝へ。




県道204号は、一部、カチカチに凍った低速ワインディングでした。
油断は禁物ですが、凍結路に少し慣れてきて、凍ったワインディングもすごく楽しかったです。アイスバーンだけ要注意ですね。




乳穂ヶ滝に到着。
しかし…肝心の滝は、凍ってませんでした。




以前、テレビか何かで見た記憶では、滝口(水の落下が開始する場所)から下の滝壺まで、1本のぶっとい氷柱になって、見事だった気がします。興味のある方はこちらをご覧ください。

凍結した滝を見られなかったのは残念ですが、またそのうち来ることにしましょう。
龍飛崎へ向かいます。
県道204号を北へ向かい、今来た道を戻ります。
突き当たりを左折し、県道3号(鰺ヶ沢街道)を西北へ向かい。鰺ヶ沢へ。
鰺ヶ沢から、国道101号を北東へ数km向かい、屏風山広域農道(通称「メロンロード」)の入り口を、ひとまず目指します。




ひたすら雪原。
こういう風景は、奥志賀以来だなぁ。
雪国の方々からすれば何でもない日常かもですが、雪を知らない関東人には新鮮。



同じ雪道でも、滑り具合はいろいろ変化しますね。
峠付近は、新雪でしたが、パウダースノーなので、よくグリップしました。




峠を越えて、日本海側へ。
鰺ヶ沢から7kmの地点まで来ると、今までの雪はなんだったんだというくらい減り。
鰺ヶ沢市街に着いたら、道路脇の雪もまったくなくなりました。
短い距離を走っただけで、風景がこれほどドラスティックに変化するのは、日本列島の複雑な地形ならではですね。




以前にも通った、屏風山広域農道(通称「メロンロード」)を北上したかったのですが、冬期通行止めとのこと。
なので、県道12号を北上し、十三湖をかすめ、国道339号(通称「龍泊(たつどまり)ライン)で、龍飛崎へ向かうルートに変更。




県道12号は地味でした。津軽半島を北上するなら、やっぱり屏風山広域農道の方がいい道ですね。防風林であまり景色は見えなかったはずだけど、長~いロングストレートが気持ちよかった記憶があります。
十三湖はこれといった展望がないので、いつも通りスルー。

で、龍泊ラインに入りましたが…
…私、地図をよく見ていなかったみたいでした。
龍泊ライン、小泊から北側は、冬場は通行止めなんですって。
ガーン。。。
龍飛崎は素晴らしい岬だけど、そこへ至るまでの龍泊ラインの、断崖絶壁のワインディングを行くダイナミズムも含めて魅力的な所だと思っているのですが…。
日本海側は雪は多くなさそうだからそんなに通行止めはないだろう、と勝手に思い込んでいたのが裏目に。

10数年前に撮った写真で、まだ32万画素(今のスマホの50分の1以下)しかなかった頃のデジカメの画像で粗くて恐縮ですが、こんな道です。
断崖絶壁と丘陵地が合わさった、素晴らしい景観とワインディング。
これに似た景色と道を他に思いつきませんが、もし北海道の宗谷丘陵が断崖絶壁にあったら、あるいは山口県の秋吉台が断崖絶壁にあったら、こんな景色になるかな、と思っています。






まあ、通行止めに文句を言っても仕方ないですね。
小泊から龍飛崎まで、直線距離で15kmのところ、70km遠回りして向かいます。
本当に遠~~~~い(^^;;)




特に変化のない津軽半島の山の中を40~50km走って、やっと海に出ました。
三厩湾(津軽海峡)を右手に見ながら走ります。
日本各地によくある、漁村の間を縫って通る、古い国道です。




あと数kmで龍飛崎。
最後の最後、結構な急坂路を登っていくことになりますが、なぜ龍泊ラインが冬期通行止めになるのか、ここに来てわかった気がしました。
この急坂路は、ロードヒーティングでずっと散水しっぱなしみたいですが、日本海から吹き付ける冷たい風のせいか、お湯を流しっぱなしにもかかわらず、アイスバーンが至るところに残っています(私が訪れたのは13:00すぎで、一番気温が上がっている時間帯)。
龍泊ラインは、日本海から絶えず冷たい風が吹き付けるため、ここより凍ることが多いのでしょう。冬期通行止めになるのも納得です。




久々に龍飛崎に来ました。
やっぱり、夏に来たときとは、すべてが違うなぁ。
夏は緑が青々していて、青空も眩しくて、色彩がとてもヴィヴィッド。
冬景色は、色調が地味で寂しく、なにより、冷たい風が「痛い」と感じるくらい、凍てつくような寒さ。
訪れる人もほとんどなく(岬は私一人でした)、吹きつける強風と海鳴りだけが、今の自分の周りにあるすべて。
でも、真冬の、この薄暗い色調、好きだなぁ。
しばし、佇みます。




北海道の、松前から福島あたりがうっすら拝めます。
昔は、龍飛崎から10kmほど南の三厩という港から、北海道の福島まで、夏季限定でフェリーが運航されていたんですけどね。たしか20年くらい前に廃止されたと記憶しています。




龍飛名物、階段国道。
ここも、冬期通行止めになるんですね。初めて知りました。




「津軽海峡冬景色」の歌碑。
昔は、この付近では、津軽海峡冬景色の2番(「ごらんあれが龍飛岬北の外れと…」で始まるパート)が、大音量で延々エンドレスで流れていたものでしたが、それはやめたようですね。
今は、歌碑の中央にあるボタンを押すと、曲が流れるシステム。
賛否両論でしょうけれど、私はこのほうがいいと思います。
エンドレスで流れていた頃は、海鳴りや吹きすさぶ風の音をかき消すほどの大音量だった記憶があり、こういうところで人工的な音は無用じゃないかと、以前ここに来たときに強く思ったので。
そういえば、北海道の襟裳岬も、昔はエンドレスで森進一が流れていたもんですが、いつ頃からかなくなりました。
美幌峠(屈斜路湖)は、たぶんいまだに、歌碑の周囲ではエンドレスで美空ひばりがかかっていると思いますが、あれは音量がそんなに大きくないので、あまり気にならないんですよね。こういうのは、程度問題という気もします。




当初はここで、昼飯と、時間があれば温泉…の予定でした。
ただし、先ほど70km遠回りしたせいもあって、1時間以上予定が狂っています。この段階で13:30過ぎ。
ここで昼飯と温泉でマッタリしてしまうと、八甲田に着くのは夜になってしまうなぁ…。
くわえて、ここで仕事のメールが来てしまいました。
いろいろとやりくりしていたら、昼飯の時間がなくなってしまいました。
昼飯抜きで八甲田へ向かいます。




国道280号を南下し、青森市街へ向かいます。
今別から山の中を通るのが最短距離ですが、ここは先ほど走って、あまり面白い道ではなかったので、少し遠回りですが、高野崎や平舘(たいらだて)など、海岸を通るルートを選択。




向こう側に下北半島が見えます。脇ノ沢あたりでしょうか。
しばらく走ると、夏泊半島も見えてきます。
青函フェリーも時々見えます。
単調なようで、飽きのこない道ですね。




去年秋に青森ツーリングをした際、15年以上使っている古いツーリングマップルを持っていったところ、情報が古すぎて、随所で使い物にならなかったので、今回最新のものを使っています。
地図をよく見たら、蟹田からバイパスができていたんですね。初めて知りました。
早速通ってみます。




バイパスは、ほとんど高速道路でした。
あっという間に青森市街へ。

お待ちかねの八甲田へ向かいます。
まずは酸ヶ湯へ。




市街地を抜け、少しずつ標高を上げていくと、徐々に積雪が増えてきます。




ものの5分で白銀の世界に。




深い林を抜けたら、萱野高原で視界がパッと開け、八甲田連峰の主峰群が眼前に広がります。
ここのスケール感、夏に来ても冬に来ても、ダイナミックだなぁ。




しばらく行くと、また林の中。
雪化粧した木々のトンネル。
きれいだなぁ(^o^)




今朝通った道も、ある程度銀世界でしたが、木の枝までは白くなかったです。




でも…冷静に見てみると、雪、少ないかなぁ。
過去に、映像や写真で見た八甲田の雪の壁の高さは、この倍以上あったような…。
やっぱり暖冬なのかなぁ。




霧氷、というのとは少し違うのかもですが、木の枝に着雪した雪が、溶けず、落ちず、留まっているという事象自体が、関東人には新鮮です。




酸ヶ湯着。
テレビや写真で見た真冬の酸ヶ湯は、もっともっと、これより全然雪が多かった印象ですが…今年は屋根も一部露出していたりして、だいぶ雪が少ないみたいですね。




さて、この時点で16:30過ぎだったのですが…
ふっとiPhoneを見てみると、仕事の新着メールが1件。
なんだかんだで30分経ってしまい、日帰り入浴はギリギリの時間に。
八甲田周辺の道路は、18:00~翌7:30は、ゲート封鎖され、通行止めになってしまうようなんですよね。
慌てて風呂に浸かるのもなぁ…
…というわけで、酸ヶ湯には、明日の朝、また来ることにしました。

ここから、十和田の宿へ向かいます。
一見、すごく遠回りに見えるルートですが、この時期の八甲田周辺は、至るところ冬季通行止めになるので、これが最短ルートになります。




冬期は営業していないとの情報を事前に得ていた八甲田温泉ですが、八甲田温泉までの道が除雪されていたので、ちょっと立ち寄ってみました。
営業はしていないようですが、施設維持か何かのために時々人が来ている感じ。
暖冬とは行っても、関東人から見ると十分に雪深いです。




時刻は17:00を回っています。
周囲の光の色の変化を受けて、雪の色が刻々と変わっていきます。
夕焼け空のグラデーションの色を反映し、橙や紫など、微妙な色合いが入り交じりはじめ。
アルフレッド・シスレー(印象派の画家)の絵画を思い出したり。




雪が積もってしまうと、風景が一変し、積雪のない時期に何度か走ってある程度記憶している道でも、どこを走っているんだか、よくわからなくなります。

景色が開けてきました。
ここは…田代平のロングストレートか。数ヶ月前に走ったので、さすがにこれはわかります。




かなり薄暗くなってきました。
それにしても、夕暮れの雪景色の色合いは、本当に美しいなぁ。




去年秋のツーリングのブログにも書きましたが、八甲田は、ブナ林のトンネルを抜けるとパッと景色が開けてだだっ広い原野になったり、道路も、ワインディングと直線路のバランスが絶妙です。
風景も温泉もすばらしい。
今回、初めて冬に来ましたが、冬に来ても夏に来ても、何度来ても、楽しめるところですね。

日暮れ間近の国道394号を、十和田湖方面へ下っていきます。




八甲田から標高400メートル弱下ってきました。
たったそれだけで、道路も、道路脇の雪も、こんなに減るんですね。
雪が積もってたのは、八甲田周辺のみです。




国道102号(十和田道おいらせライン)は、乾燥路になっていました。
18:30、本日の宿に着(写真は翌朝のもの)。



昭和の雰囲気漂う懐かしい温泉宿って感じです。
建物の作りも、あちこちに段差があったりして、バリアフリーという言葉が叫ばれる前の設計です。
設備も使い込んだ感じはありますが、手入れはきちんとされていて、小綺麗に保たれていました。






​ここの大浴場は公衆浴場なので日帰り入浴客も入れますが、露天風呂は宿泊客のみが入れる特典。
もちろん露天風呂へ入ります。
温泉の設備も古くて、シャワーが固定式だったり(笑)、お湯を1分くらい流し続けないと温水にならなかったりしますが、まあ、そんなのは我慢です。
露天風呂、満月を眺めながら茶色いヌメヌメのぬる湯でマッタリ。
お湯のあたりも柔らかくて気持ちいいです。
他の宿泊客とは会わず、一人で貸しきりでした。ラッキーです。
何気にいい宿ですね。また来たいと思いました。

部屋の暖房は、通常のエアコンのほかに、石油ファンヒーターの2台体制。
エアコンだけだと寒いので、ファンヒーターも入れました。
そういや、ファンヒーターなんて久しぶり。灯油が燃える匂いが懐かしかったです。
石油ストーブで育った世代なので、灯油が燃える匂いをかぐだけで、なんとなく温まった気になるという。
時々換気しなくちゃいけないのもまた懐かしかったり。

晩酌しながら、朝からのルートを確認。
この日1日を振り返ると、日本という国は、少し移動しただけで、まるで風景が変わるなぁと、改めて実感した次第です。
同じ青森でも、雪がほとんどない龍飛崎と、一面の銀世界の八甲田。全然違いますからね。




翌朝は、前夜来た道を逆に向かって酸ヶ湯へ。
国道102号(十和田道おいらせライン)は、ちょっと雪が降ったのか、圧雪路になっていました。
クルマを降りてみました。
路面は、表層には新雪がうすく積もっていて、少し掘るとカチカチに凍った新雪、さらに少し掘るとアイスバーンという状態で、複雑な層になっていましたが、特に滑ることもなく、普通に走ってくれました。理屈ではわかっているものの、スタッドレスタイヤってすごいなぁと、初心者は改めて実感した次第であります。




晴れた朝の凍結路。
気持ちいいです。




朝の田代平。




この後、酸ヶ湯に浸かってから帰宅しました。

これにて東北雪中ツーリングの記録は終了です。
長文・駄文失礼しました <(_ _)>